★★　愛しいもの　★★

まだ、日付けが変ったばっかりだ。

今、あたしの伸ばした脚に、らぶ子がちょこんと
顔を乗せている。

優しく頭を撫でてみた。

何だか涙がこぼれた。

ただの情緒不安定。そうなのかも知れない。
だかど、さっきまでの途方に暮れた涙とは、全然違う種類の涙だなぁ。

らぶ子は、何時もあたしの側にいる。
あたしが泣いている時もそっと近ついて来ては
触れるか触れないかの場所に　その金色の毛を
ふんわり落し　ただ座っているんだ。

時にはあたしが、顔を伏せた枕に、半ば強引に
自分の顔を乗っけてくる。（笑）

飼い主バカかも知れない。
ワンコは、みんなそうなのかも知れない。

でも、いつも　そっとやって来て、遠慮がちに、身体の一部だけ、くっけてくる彼女を、愛しめずには
いられない。

忘れていたものに、フッと気付く。
優しい気持ちが、ちょっとずつ　また潤いだす。

すごく単純。
だけど　うれしい。

離れている彼に、今、とても逢いたい気分。

らぶ子が思う出させてくれた、優しさを
彼にも伝えたい気分。

それって、変かなぁ。

この「愛しいさ」を　忘れたくないんだ。

やっぱり　まだまだ　負けたくないんだ。

あたしの横でスヤスヤ眠る　この子と離れたくない

あたしを愛してくれる人を、無くしたくない。

大切なもの。愛しいもの。
それだけで、あたしはここに存在（いる）意味がある。
ここにまだ、存在　していられる。

単純だけど、今　そう感じてた。